毎月のように幼児虐待死事件が起こっているような昨今。
何でそんなひどいことするのか理解不能ですよね?
でも結局は体罰の延長上にあるのが虐待なわけで、予備軍は今もその辺にたくさん生息しているわけです。
僕が一番嫌いな考えは、
「道を飛び出そうとする子供を引っ叩いて飛び出しちゃダメだと教えることの何が悪い?事故にあったらもっと痛い思いするんだぞ?」
という考え。
この考えが間違っていることを、この記事で解説していきたいと思います。
昔は体罰が当たり前だった

30年前。
僕の子供時代には体罰は当たり前でした。
子供が間違ったことをしたと思ったら叩いて、その痛みで間違っていることを理解させるという昭和の教育
親からブン殴られるのは当たり前ですし、学校に行っても竹刀持って授業する今ならマンガにも出てこないような先生からブン殴られてきました。
ちなみにその先生は日本教職員組合(日教組)だったらしいです。
そういえば君が代歌わせてくれなかったな~ということを思い出します。
と、まあ親からも先生からも殴られて育ってきた世代なので、体罰賛成派かと思いきや、僕は体罰は絶対に反対の立場を貫いています。
「愛情があれば叩いても良い」
等、妄言をする方も多いですが、あの頃の先生が愛情を持って生徒をボコボコにしていたとは到底思えません(笑)
親にしても結局は感情的に殴っているだけで、
「なんで言うこと聞かないんだ!(怒)」
という怒りの感情、今で言う「キレて」殴っていただけなのです。
体罰のマイナス面

暴力で支配できることを学ぶ
大人の絶対的な腕力を使い、弱い子供に言うことを聞かせるのが体罰です。
それで言うことを強制させられた子供が学ぶことは、
「力が強ければ相手に言うことを聞かせることが出来る」
ということ。
自分の思う通りにならないと暴力をふるう子供に育ち、結果的にイジメっ子に育ってしまったり、暴力を正当化し犯罪を犯す人間になってしまう危険性があります。
ちなみに、これは親が子供に対する体罰の話ですが、いずれ親が年齢を重ね介護を受ける弱者になった場合、介護する子供が、言うことを聞かない親をどうするかはご想像にお任せします。
体罰で精神疾患の可能性も
体罰で無理やり言うことを聞かせられた子供は自分で考えて動くという行動をしなくなり、自主性や積極性が失われやすいです。
叩くという行為自体、相手を尊重していない行為なので子供の内面には自分の存在を否定されたという自己否定感が残ります。
更に体罰で精神疾患の可能性が高まることも研究で明らかになっています。
体罰で精神疾患の可能性高まる、米研究
AFPBB News
https://www.afpbb.com/articles/-/2887637
子どもの時に尻や体を叩かれるといった体罰を受けたことがある人は、そうでない人よりも成人後に気分障害や不安障害、依存症などの精神疾患で悩まされる可能性が高くなるとしたカナダの研究が、2日の米小児科専門誌「ペディアトリクス(Pediatrics)」で発表された。
叩く=痛み
というトラウマを植え付けられながら育っていくので、そりゃどこかおかしくなっても何の不思議もないですよね…
体罰の効果は一時的なもの

それが悪いことだと真に理解できておらず、体罰をする人の前だけ言うことを聞いていれば良いという考えになるので、体罰は根本的な解決にはなっていないのです。
体罰をする怖い親の前では言うことを聞いていますが(聞くフリ?)、体罰をしない他の人の前では、むしろ反抗的になり、もしその人が注意しようものなら暴力で反抗しようとする危険性もあります。
体罰して教えた気になって満足しているのは本人だけ。
飛び出しの件もそうですが、体罰をする親の前では飛び出さないようになるが、親がいないときには飛び出すので、本当に飛び出すことがダメだと教えるには、きちんと頭で理解させる必要があります。
虐待を受けた子どもの脳は萎縮する

いつの間にか虐待に
これが一番怖いケースです。
虐待死の事件で、殺害した親が必ず言うのが「躾け(しつけ)」だったということ。
最初は口調を強くしたりして言うことを聞いてもらおうとするが、なかなか聞かなくなる。
そして、少し軽く叩くと言うことを聞いてくれた。
最初は軽い体罰なのでしょう。
でもまた同じ悪いことをした場合、言うことを聞かせる為に更に強く叩くようになり、それでも聞かない場合更に…
と、エスカレートしていき、いつの間にか虐待死に繋がっていきます。
ほとんどの人は殺すまではいきませんが、虐待レベルまで行っている予備軍はニュースにならないだけで相当な数がいると思います。
最初のほうにも言いましたが結局、子育てでストレスが溜まってノイローゼ気味になっている親が「なんで言うこと聞かないの!」とキレて叩いているケースがほとんどなのです。
海外では体罰禁止している国が多い


体罰を法的に禁止している国は世界で58ヵ国(2019年10月時点)
各国の体罰等全面禁止法
https://www.kodomosukoyaka.net/activity/law.html
ちなみに日本でも親による体罰禁止を盛った改正児童虐待防止法と改正児童福祉法が2020年4月スタート(罰則無し)
法的に禁止していないアメリカなどでも体罰をした親が逮捕されるケースも多いです。
例:
・父親が小学生の娘に人前でゲンコツしたケース → 留置所に二週間拘束
・旅行中に乳児を置いてカジノで遊んでいたケース → 泣き声を聞いた隣室のホテル客からの通報で手錠をかけられ夫婦共に逮捕
日本の常識だと「えっ?」と思いますよね。
でもすでに海外の常識では体罰は絶対禁止というのが常識になっているわけです。
逆に考えれば体罰をしなくても道路に飛び出すことがダメだと教えられるということ。
そう!飛び出しがダメということを体罰でしか教えられないということは、親としての教育力不足を恥じるべきことなのです。
スウェーデンでは1979年に体罰禁止の法律がすでに制定されていたとのこと。
決してスウェーデンの子供達が全員叩かなくても言うこと聞く子ばかりではなかったと思います。
子供なんだから言うこと聞かない子がほとんどでしょう。
じゃあどうするか?
叩かなくても言うこと聞かせる方法をどうしよう?
と、スウェーデンの親御さん達は悩み続け、叩かなくても育てられる方法を得ました。
対して日本はどうでしょう?
そんなの面倒だし叩けば言うこと聞くんだから、とりあえず体罰しときゃいい的な考えがまだこの令和になっても残っています…
ちなみに日本の現在の体罰容認派(軽いのも含む)は6割。
1979年のスウェーデンの体罰容認派も6割。
それが2000年代に入り1割以下まで減少。
日本もやれば出来るはずです!
“体罰禁止”改正法成立も罰則なし…虐待親を抑止できるのか



法改正と啓発によって体罰容認派が減ることははっきりしています。世界に先駆け、1979年に、子どもに対するあらゆる体罰を法律で禁止したスウェーデンでは、それまで6割近くいた容認派が、2000年代に1割ほどまで減少したといいます。
体罰でサイコパスや犯罪者が生まれる


それでもまだ体罰は必要だと思う方々に向けて、犯罪者のケースと照らし合わせたいと思います。
神戸連続児童殺傷事件で切断した男児の頭部を置いた犯人「元少年A(酒鬼薔薇聖斗)」
Aの母親は、Aに対し相当な体罰を加えていたと言います。
「絶歌」元少年Aの犯罪、原因は母親にあった?
https://toyokeizai.net/articles/-/74947?page=2
秋葉原通り魔事件の加藤智大も母親からの体罰を受けていました。
※テレビ番組は「マンガ日本昔話」など2本だけ。友達との往来は禁止。作文指導では母親が横に座って検閲し、質問は母親がカウントダウンし、10秒以内に応えないとビンタが飛んだそうです。
東洋経済オンライン
幼少期に父親から暴力を振るわれ続けた男性が性犯罪加害者になるまで
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/63633
更にシリアルキラー(連続殺人犯)のほとんどは幼少期に虐待された経験があるというデータもあります。
子供の頃に暴力で言うことを聞かされたストレスは人格の形成に非常に大きく関わってくるのです。
まとめ
体罰が子供に悪影響しかないことを理解してくれている方は良いのですが、そもそも体罰が悪影響を及ぼすという知識もなく、必要なことだと思い今日この瞬間も子供を殴って押さえつけている人がいることが悲しくて仕方ないです。
更に世間もまだ体罰賛成派が多い為、近所の人がよく怒鳴り声や泣き声を聞いたとしても、それが躾けの一環だと思い通報しないこと。
そして通報しても児童相談所の介入する権利が弱く、子供達を守り切れないこと。
色々な面で日本は遅れています。
一応2020年4月からの体罰を禁止する法律が日本でも成立されますが、罰則が無いので効果はほとんど期待できなさそうなのは残念…
ただ、明らかに30年前、20年前、10年前、5年前と徐々に体罰反対派が多くなってきていることも事実。
一日も早く、体罰に頼らない日本になってほしいです(^^♪