
障害年金を申請する時に最も重要な判断材料となる医師が書く診断書
ほぼ診断書の内容で障害年金が貰えるか貰えないかが決まってしまう可能性大。
その診断書の中にある「日常生活能力の判定」が点数によって決められていることは前回の記事で書かせていただきました。
病気の種類によって細かい部分は違うと思いますが、この「日常生活能力の判定」は何より【自立して生活できるかどうか】を最重要視する項目なので、ある程度共通するものとして書けると思います。
自分の境遇に近い例があったら、そこにご自身の実際のケースも加えたりアレンジして日常生活状況メモを作成してみてください。
医師はあなたが普段どんな生活をしているのか完璧には把握していない時もあると思います。
自分の生活状況を医師に口頭で伝える際に、言葉が出て来なかったり、伝え忘れることもあると思うので、事前にメモに書いて、それを医師に渡す方法をオススメします。
ちなみに診断書には、
(判断にあたっては、単身で生活するとしたら可能かどうかで判断してください。)
と、書いてある通り、医師はあなたが単身で生活した場合を想定して書いてくれます。


日常生活能力の判定具体例
適切な食事
(1)適切な食事 – 配膳などの準備も含めて適当量をバランスよく摂ることがほぼできるなど
【具体例】 |
・自分では食事を用意できない。 |
・母親が準備してくれるので無理やり食べようとするが食欲がなく毎回残してしまう。 |
・丸1日半以上食べることを忘れていたこともあり、痩せこけて動けなくなったところを家族に助けてもらったことがある。 |
・食べたものを全て吐いてしまう時もある。 |
・好き嫌いが激しく、一つのものだけを食べ続けてしまう。 |
・自分の部屋まで食事を持ってきて貰わないと食べられない |
【ポイント】 |
・必ず家族に食事を用意してもらわなきゃ食事ができない点。 |
・栄養バランスが全くとれない点。 |
・自分から動いて食事をしない点。 |
・食欲がなく、食べても吐いてしまう点。 |
身辺の清潔保持
(2)身辺の清潔保持 ― 洗面、洗髪、入浴等の身体の衛生保持や着替え等ができる。また、自室の清掃や片付けができるなど。
【具体例】 |
・ずっと同じ服を着続ける。 |
・シーツと枕カバーを半年洗わなかったこともある。 |
・二週間以上シャワーをしない時もある。 |
・家族に「臭い」と言われるまでシャワーをしない。 |
・体をタオルで洗って血が出たことがあるので体は洗わないようにしている。 |
・部屋が片付けられずゴミ屋敷のようになっている。 |
・一度も自分で掃除をしたことがない。 |
・自分の部屋にウジ虫ゴキブリがよく出る。 |
・トイレに間に合わず漏らしてしまうことが多い。 |
【ポイント】 |
・服や寝具を全然洗濯しない点。 |
・シャワー、お風呂になかなか入らない点。 |
・部屋が汚く、自分で整理整頓や掃除ができない点。 |
金銭管理と買い物
(3)金銭管理と買い物 – 金銭を独力で適切に管理し、やりくりがほぼできる。また、一人で買い物が可能であり、計画的な買い物がほぼできるなど
【具体例】 |
・親から借りたクレジットカードを使いすぎてしまったことがある。 |
・買い物に行くと自分で考えていた以上にお金を使ってしまっていて、いつの間にか財布からお金が消えている。 |
・ゲームのガチャで当たりが出るまで引き、知らないうちに5万円以上使ってしまう。 |
・財布をよく落とす。 |
・借金が多くなり返せないこと。 |
【ポイント】 |
・お金を管理できない点。 |
・欲望を抑えることが出来ずお金を使いすぎてしまう点。 |
・外出先ではお金を失うことになる致命的ミスをしてしまう点。 |
・借金をしてしまう点。 |
通院と服薬
(4)通院と服薬(要・不要) – 規則的に通院や服薬を行い、病状等を主治医に伝えることができるなど。
【具体例】 |
・不規則な生活をしていて薬を飲み忘れることがある。 |
・症状がひどい時は薬をたくさん飲んでしまう。 |
・日にちの感覚がなく通院日を忘れることがある。 |
・病院に行きたくない時は、ドタキャンする日もある。 |
・自分では病院に行けず家族に最寄り駅まで同行してもらい通院している。 |
・医師の言うことをすぐ忘れてしまう。 |
・医師に自分の状況を正確に説明できない時が多い。 |
【ポイント】 |
・薬を指定通りに飲むことができない点。 |
・ちゃんと定期的に通院できない点。 |
・医師に言われたことを守れていない点。 |
他人との意思伝達及び対人関係
(5)他人との意思伝達及び対人関係 – 他人の話を聞く、自分の意思を相手に伝える、集団的行動が行えるなど。
【具体例】 |
・友達が一人もいない。 |
・気付かないうちに相手を傷つける発言をしてしまう。 |
・仕事をしていた時もコミュニケーションが取れず職場で無視されていた。 |
・ずっと自分の部屋にひきこもっている。 |
・隣人とすれ違っても挨拶できず逃げている。 |
・話す内容が思いつかず人との会話が成り立たない。 |
・SNSは誹謗中傷が怖いのでしていない。 |
【ポイント】 |
・人とのコミュニケーションが取れない点。 |
・孤立している点。 |
・ひきこもっている点。 |
身辺の安全保持及び危機対応
(6)身辺の安全保持及び危機対応 – 事故等の危険から身を守る能力がある、通常と異なる事態となった時に他人に援助を求めるなどを含めて、適正に対応することができるなど
【具体例】 |
・ボーッとしながら車道に飛び出し危うく事故になりそうなことがよくある。 |
・歩いている時に人との距離の感覚がつかめず、ぶつかってしまうことが多い。 |
・昔、包丁で手を切ってしまったことがトラウマになり刃物は扱えない。 |
・大きな地震が起きた時にパニックになってしまい足がすくんでしまい逃げることが出来ない。 |
・パニックを起こしても他人や家族に助けを求めず自分自身だけで解決しようとして更にパニックになってしまう。 |
【ポイント】 |
・一人で歩くと事故を起こす危険性がある点。 |
・刃物など危険なものが扱えない点。 |
・困っても他者に助けを求められない点。 |
社会性
(7)社会性 – 銀行での金銭の出し入れや公共施設等の利用が一人で可能。また、社会生活に必要な手続きが行えるなど
【具体例】 |
・役所の手続きは一人では出来ないから必ず家族にしてもらう。 |
・お金のやり取りが怖くて銀行に行けない。 |
・ATMからお金を引き出す方法がわからない |
・振込先を正しく入力できない。 |
・通帳やカードをATMから取り忘れて出て来てしまう。 |
・電車の乗り換えがわからず、目的地に行けず家に帰ってしまうことがある。 |
・地図が全く読めない |
・自分のいる場所がわからず、迷子になってしまうことが多い。 |
【ポイント】 |
・一人では役所も銀行も利用することが出来ない点。 |
・外出先ではお金を失うことになる致命的ミスをしてしまう点。 |
・交通機関をスムーズに利用できず目的地まで行けない点。 |
一人で生きられるかどうか
最初にも言いましたが、この日常生活能力の判定は一人で生きていけるかどうかを判断する項目です。


病気が大変なのはわかるけど、じゃあその病気があるせいで一人で生きられるの?生きられないの?
と、問われていると思って良いでしょう。
例えば医師に伝える際「親に食事を作ってもらって食べています」だけの情報しか伝えていなかった際、医師としては単身(一人暮らし)になったら食事を自分で用意して食べられるのかどうか判断がなかなか難しいと思います。
なので、そこは具体的に「自分では食事の準備が全くできないので親に作ってもらっている」と伝えたほうが、医師が「(1)適切な食事」の項目で何点をつけるかどうか変わってくる可能性が高いです。
一人暮らし&仕事している方の場合
もしすでに一人暮らしの方の場合は、家族など周りのサポートがあって生活できているかを伝える必要があります。
一人暮らしが出来ている段階で自立して生活できていると判断される場合もあるので、障害年金受給のハードルが上がってしまうケースもあると聞きます。
同様に仕事している人も障害年金受給が難しくなる可能性が高いです。
ただし、これも同じ職場で上司や同僚のサポートを受けないと仕事が続けられないという事実をしっかりと書くことが大切。
それと数年間安定して正社員として仕事している以外は「就労している」とわざわざ言わないほうが無難らしいです。
要するにバイト程度なら言わなくて良いってこと。
これ僕が言ったんじゃないですよ?
とある社労士のホームページでこう書いてありましたが、社労士って随分ダークなアドバイスしてるな~と逆に感心してしまいました(笑)
まあこの辺は医師と直接相談しても良いと思います。
バイトや就労支援施設で働いてる場合は医師と相談し「まだ本格的に仕事しているわけではなくリハビリ中みたいな感じなので、就労はしていないと書いてくれますか?」と、聞いてみても良さそうです。
最後に


今回の件は主にずっと家にいるひきこもり無職ニートを想定したので、それ以外の方には当てはまらないケースもあるかもしれません。
しかし結局「一人で生活できない」という点は共通しているので、その基本を捉えていれば、どんなケースにも対応できると思います。
ちなみに、これも出来ないあれも出来ないを書くだけではなく「●●ができるようになりたいのに」という少し前向きな姿勢も織り交ぜていくと、医師の印象が良くなるそうです。