森保ジャパンのサッカーがつまらないと世間では叩かれている2020年2月現在。
じゃあ、いつの日本代表のサッカーなら楽しかったのか?
と、聞かれたら僕は間違いなくザックジャパン時代だったと即答します。
すでにみんなの記憶から忘れ去られている世界に自慢できたパスサッカーを動画を基に再確認していきたいと思います。
ザックジャパンは強かった

ワールドカップの戦績がひどかった為、
ザックジャパンのサッカー = 世界じゃ通用しない
と、なっていますが、僕はワールドカップだけの戦績だけで4年間の評価を決めてしまうのは間違っていると思います。
日本人のフィジカルは世界では通用しない、だからこそみんなでパスを繋ぎ全員で戦うというサッカー。
僕はこの考えが理想だと思います。
ハリル監督は日本人にデュエルを求めましたが、デュエルで世界と対等に戦えること前提のサッカーをして機能するとはとても思えませんでした。
結局、3年経っても一向にデュエル重視の縦に早いサッカーは機能せず…
あれは個人能力が高いアフリカの選手で構成するチームに規律というスパイスを少々付け加えて、ようやく可能になるサッカーです。
日本人には到底無理なスタイル…
無いものねだりしてもしょうがない。
監督というのは、限られた戦力の中で、チームをどう強くしていくかを考えるのが仕事です。
ザックの遺産を完全な更地に戻したハリル批判はここまでにして、改めてザッケローニ監督が就任した後の戦績と映像を見てみましょう。
2010年-2011年
2010年 9月4日 | 親善試合 | 1◯0 | パラグアイ | 日産ス |
9月7日 | 親善試合 | 2○1 | グアテマラ | 長居 |
10月8日 | 親善試合 | 1○0 | アルゼンチン | 埼玉 |
10月12日 | 親善試合 | 0△0 | 韓国 | ソウル |
2011年 1月9日 | アジア杯 | 1△1 | ヨルダン | カタール |
1月13日 | アジア杯 | 2○1 | シリア | カタール |
1月17日 | アジア杯 | 5○0 | サウジアラビア | カタール |
1月21日 | アジア杯 | 3○2 | カタール | カタール |
1月25日 | アジア杯 | 2-2 (3PK0) | 韓国 | カタール |
1月29日 | アジア杯 | 1○0 | オーストラリア | カタール |
特にアルゼンチン戦は、メッシ、テベス、マスチェラーノ等、ベストメンバーで臨んだ試合での勝利。
ホームだとしても、他のどの時代の日本代表でもアルゼンチン代表には勝てないと思います。
ただし、まだザッケローニ監督が就任間もない頃のチームなので、まだ得意のパスワークはあまり見られませんでした。
その後の韓国戦を僕は現地ソウルで見てました。
韓国人の友達グループと見に行ったのですが、今、思えば引き分けでほんと良かったなと思います(笑)
その韓国戦を経てザックジャパンはアジアカップに向かい優勝します。
あのオーストラリアとの決勝戦での李のボレーは伝説になりましたね。
この後に二回アジアカップがありましたが優勝できず、このザッケローニ時代がアジアカップ最後の優勝となっています。
公式戦でも勝負強いザックジャパンでした。
僕がこのアジアカップ優勝よりも嬉しかったのは2011年8月に行われた韓国戦3-0の勝利。
ザックジャパン最高の試合とも称えられた歴史的な試合。
そしてもう2020年になりましたが、この試合がお互いベストメンバーで行われた最後の日韓戦です。
これ以降も日韓戦はありましたが年代別、国内組限定の試合ばかりで海外組も合わせたベストメンバー同士の日韓戦は行われていません。
今、やったらどっちが勝つかわかりませんが、少なくともこのザックジャパン時代ならば日韓戦は自信満々に臨めました。
結局ザックジャパン時代は日韓戦3戦全勝ですからね。
ちなみに2010年就任から2011年11月の北朝鮮戦まで1年以上19試合無敗。
結果も内容も伴っていた時代でした。
2012年-2013年
2012年 5月23日 | キリンチャレンジ杯 | 2○0 | アゼルバイジャン | エコパ |
2012年 6月3日 | W杯アジア最終予選 | 3○0 | オマーン | 埼玉 |
2012年 6月8日 | W杯アジア最終予選 | 6○0 | ヨルダン | 埼玉 |
2012年 6月12日 | W杯アジア最終予選 | 1△1 | オーストラリア | ブリスベーン |
2012年 9月6日 | キリンチャレンジ杯 | 1○0 | UAE | 東北電ス |
2012年 9月11日 | W杯アジア最終予選 | 1○0 | イラク | 埼玉 |
2012年 10月12日 | 親善試合 | 1○0 | フランス | サンドニ |
2012年 10月16日 | 親善試合 | 0●4 | ブラジル | ウロツワフ |
2012年 11月14日 | W杯アジア最終予選 | 2○1 | オマーン | マスカット |
2013年 2月6日 | 国際親善試合 | 3○0 | ラトビア | ホームズ |
2013年 3月22日 | 親善試合 | 2○1 | カナダ | ドーハ |
2013年 3月26日 | W杯アジア最終予選 | 1●2 | ヨルダン | アンマン |
2013年 5月30日 | 親善試合 | 0●2 | ブルガリア | 豊田ス |
2013年 6月4日 | W杯アジア最終予選 | 1△1 | オーストラリア | 埼玉 |
2013年 6月11日 | W杯アジア最終予選 | 1○0 | イラク | ドーハ |
2013年 6月16日 | コンフェデ杯 | 0●3 | ブラジル | ブラジリア |
2013年 6月20日 | コンフェデ杯 | 3●4 | イタリア | フォルタレザ |
2013年 6月23日 | コンフェデ杯 | 1●2 | メキシコ | ベオロリゾンテ |
2013年 7月21日 | 東アジア杯 | 3△3 | 中国 | ソウル |
2013年 7月25日 | 東アジア杯 | 3○2 | オーストラリア | 華城競技場 |
2013年 7月28日 | 東アジア杯 | 2○1 | 韓国 | ソウル |
2013年 8月14日 | 親善試合 | 2●4 | ウルグアイ | 宮城ス |
2013年 9月6日 | 親善試合 | 3○0 | グアテマラ | 長居 |
2013年 9月10日 | 親善試合 | 3○1 | ガーナ | 日産ス |
2013年 10月11日 | 親善試合 | 0●2 | セルビア | セルビア |
2013年 10月15日 | 親善試合 | 0●1 | ベラルーシ | ベラルーシ |
2013年 11月16日 | 親善試合 | 2△2 | オランダ | ベルギー・ゲンク |
2013年 11月19日 | 親善試合 | 3○2 | ベルギー | ベルギー・ブリュッセル |
この頃からダイレクトパスの連続で崩すザックジャパンのサッカーは見ていて面白く、海外のチームと戦うときも
「どうだ!これが日本のサッカーだ!」
と、誇れるサッカーに進化していきます。
まず最初のハイライトはアウェイでのフランス戦勝利。
当然、スタッド・ド・フランスで行われたホームのフランスはベストメンバーで来ました。
ベンゼマ、ジルー、ロリス、リベリ等、勢ぞろい。
ここで注目してほしいのは最後、長友がパスにしたこと。
今の代表の感覚だと、あそこは絶対にシュートで終わらなきゃ後々みんなに叩かれるシーン。
でも自信を持ってパスを選択し、より効率的にゴール。
ザックジャパンのパスサッカーのポリシーを体現しているシーンだと思います。
そしてそのパスサッカーが世界に称賛されたのがコンフェデカップ。
でも結局、このコンフェデも絶賛はされましたが三戦全敗なんですよ。
要するに本当に強くモチベーションも高いチームには実力負けするという点。
これはもうしょうがないじゃないですか。
それでも絶賛されたパスサッカーは僕達に希望をもたらしてくれました。
そしてザックジャパンの完成された形を見せたのがオランダ戦、ベルギー戦
オランダにはロッベンがいましたし、ベルギーにはアザール率いる後の黄金世代と呼ばれるメンバーがいました。
オランダ戦の2ゴールはもう芸術の域ですし、ザックジャパンの目指したパスサッカーを全て表しているゴールだと思います。
こんなゴールはもちろん、このようなダイレクトの連続で相手が全く追いついて来られないような崩しはザック退任以降の日本代表で一度も見られていません。
ザックジャパンの敗因
2014年ブラジルワールドカップの惨敗は色々な敗因が言われていますが、僕はただ単に相手のほうが強かっただけだと思います。
コートジボワールにはドログバ、ヤヤ・トゥーレという世界最高峰の選手を筆頭にゴールデンエイジでしたし、コロンビアもハメス、クアドラードを筆頭に世界トップレベルで通用するタレントが揃っていました。
ギリシャ戦は退場者がいた為、相手が勝利を放棄し、ひたすら引いて守るというワールドカップで初めての経験で、ザッケローニもオプションを用意していなかったところは責任があると思います。
それに対し、成功したと言われる2018年ロシアワールドカップはどうだったか?
ロシアワールドカップは決勝トーナメントまで勝ち上がりましたが結局はほぼフルタイム10人で戦っているコロンビアに勝った1勝だけ。
ハリルになってから3年が経ち、すでに簡単なパスも繋げないチームに成り下がっていた日本代表を西野監督はよく立て直したと思います。
しかし決勝トーナメントまで行ったと思いますが絶賛される結果ではありません。
内容に関してはハリルで「とにかく縦に行け!個で勝て!」という日本人に全く合わないサッカーから、日本人らしく全員で戦うサッカーに切り替えたのは吉でした。
結論としては、現在の日本代表がどんなサッカーをしても世界と対等に戦えるわけではないし、決勝トーナメントに行けるかどうかは相手次第ということになります。
サポーターのレベルを上げよう
このブラジルワールドカップ惨敗でサポーターは一斉に手のひらを返し
「ポゼッションパスサッカーは古い!これからはカウンターの時代だ!」
と、連呼。
そしてハリル政権という悪夢が誕生してしまったわけですが、極論過ぎます。
そもそもポゼッションか?カウンターか?の二択ではなく、そのオプションを持てば良いのです。
今の欧州王者リバプールだってクロップ監督がお得意の高速カウンターを浸透させ、恐るべきカウンターを備えていますが、自分達が強くなれば強くなるほどボールを支配する時間も長くなり、相手が引いて守る形が多くなります。
結局はポゼッションサッカーしている試合のほうが年間通じて多いのです。
そのときにどう崩すかをオプションとして備え付けられているかどうかがチームの対応力となり結果に直結します。
なのでザックはオプションを研ぎ澄ます時間が無かっただけで、その次も同じポゼッションをベースのパスサッカーにしながらカウンターも織り交ぜていけば日本人の素質を考慮した理想のサッカーが完成したのに、それを全てリセットしたハリルジャパン…
たった4年ですよ?
それで世界のトップレベルにも通用するサッカーなんて作れしない。
ザックジャパンは内容も結果も出て、ようやく確固たる形が出来て機能し始めたパスサッカーを何故そのまま進化させ、全世代の育成現場にも取り入れ、統一して円熟を待たなかったのか…
残念で仕方ありません。
今の森保監督で我慢しろというのは酷だと思いますが、次に日本人らしい見ていて面白いサッカーで結果も出ていたら、例え本番で負けたとしても続投、もしくは系譜を受け継ぐ監督を推薦するサポーターになってもらいたい。
というのが僕の願いです。
ザックジャパンの全ゴール動画
最後にザックジャパン2010年~2014年の全ゴール動画集でお別れです。。
正直、本当に見てほしかったのはゴールよりもパスの流れなのですが、ゴール集しか動画がないのがつらい…
ゴールにならなかったキレイな崩しの動画集があれば、ザックジャパンの魅力はもっと伝わったと思います。
僕は今でも歴代最強は文句なしにザックジャパン時代だったと確信しています。
